10.ミッドナイト (2008年06月14日放送)
脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:アリス・トラウトン


ドクターとドナは休暇のため、ミッドナイト惑星を訪れる。ドナが高級ホテルで日光浴を楽しむ間、ドクターは美しい滝の宮殿を見るため、クルセーダー50という列車に乗って一人で観光旅行に出かける。ところが途中で列車が故障し、立ち往生してしまう。ドクターと他の乗客たちは列車の中に閉じ込められてしまった。そのうちに、列車をバンバンと強く叩く音が外から聞こえてきた。何者かが中に侵入しようとしているようだ……。

これは怖い話という前評判が高く、BBCがこのエピソードにつけた「ソファのうしろに隠れる度(恐怖度のこと)」は5点満点中5点!私は「怖いといっても大したことないだろう」と高をくくっていたのですが、いざ見始めたら確かに怖かった!息詰まるような緊迫感とサスペンスでした。
怖いといっても、最近の映画でよく見かける過激な残酷描写や、生理的な嫌悪感を催すシーンは一切ありません。純粋に心理的な恐怖なのです。得体の知れない生命体に体を乗っ取られる恐怖や、極限状況に追い詰められた人々の行動などが実に巧みに描かれていました。
この番組にしては珍しく、CG映像はあまり見られませんでした。それでもドラマは一級品です。セリフが激しくやりとりされ、ちょっと舞台劇を見るような趣がありました。特殊効果に頼らなくても面白いドラマはできるという好見本です。
特殊効果がない分、俳優の人たちに大きなプレッシャーがかかったようです。ある理由で、俳優は別の俳優とセリフをシンクロさせなければなりませんでした。つまり、まったく同じセリフを二人の俳優が同時にしゃべらなければならなかったのです。このドラマを完成するためにスタッフの人たちにかかった苦労は並々ならぬものがあったようです。
なお、上の写真で眼鏡をかけた初老の男性はデイヴィッド・トラウトン。彼は二代目ドクター、パトリック・トラウトンの息子さんで、旧『ドクター・フー』シーズン9のエピソード『ペラドンの呪い』では若き王を演じました。