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時間旅行実話ゾーン→時を旅することは可能か?



トム・スレマン

 時間は完璧な殺人者です。毎日、世界中で4万人の方々が無差別に亡くなっています。お金持ちであろうが貧乏であろうが、黒人であろうが白人であろうが、すべての人々が知らず知らずのうちに時によって体と心を蝕まれています。時の無慈悲な殺戮を食い止める術はないように思われます。人はよく「時間をつぶす」と言いますが、皮肉なことに本当はその逆なのです。

 時の経過をさまたげることさえできたら、はかない寿命を延ばすことができます。ローマ時代の作家、ホーラスは千年以上も前に「死」にまつわる難問を次のように簡潔な言葉でまとめあげました……「人生はあまりにも短い。だから遠大な目標を追求することができない。」

 歴史を通じて、人類は時を止め永遠に生きることを夢見てきました。でも、この夢想は現実になりうるでしょうか?私は時の流れをコントロールすることが可能だと信じています。あなたは信じられないかもしれませんが、実は様々な人々が図らずも「四次元」をさかのぼったり、前進したりしているのです。「四次元」とは科学界で公的に用いられている時間の定義です。このコーナーではそんな「時の旅人たち」の体験談をご紹介します。でもその前に、時間の本質について科学的な視点からざっと見てみることにしましょう。

 私たちが「時間」と呼ぶものはまだ完全に解明されていません。ドイツの物理学者アルバート・アインシュタイン(1879-1955)が登場するまで、科学者たちは時間を「変更不可能な宇宙の法則」とみなしていました。昔の科学者に言わせれば、時間とは「過去から未来に向かって力強い川のように安定して流れるもの」だったのです。アインシュタインはこの説に異議を唱えました。懐疑的な科学者たちに対して、アインシュタインは次のように主張したのです。

 「時間には伸縮性がある。そして時間を逆行することは可能だ。宇宙では場所に応じて時間が異なる速度で進んでいる。」

 この説はイギリスの科学者であり数学者でもあるアイザック・ニュートン卿(1642-1727)が唱えた伝統的な考え方に真っ向から対立するものでした。アインシュタインの説の正しさが実験によって証明されたのは、それからかなり後のことになります。また、アインシュタインは「移動中の物体は静止中の物体に比べ、年をとる率が遅くなる」という革命的な説を唱えました(この説、発表当初はまったく意味を成さなかったのです)。例を挙げましょう。双子がいると仮定します。ひとりは宇宙船に乗り込み、光の速度(秒速約30万キロメートル)に限りなく近いスピードで5年間の宇宙旅行に出発します。宇宙飛行士が地球に戻ってきたとき、地球に残っていた双子の片割れは宇宙飛行士より50歳も年をとっているはずです!

 アインシュタインの時間膨張の理論が正しいことは多くの形で証明されています。極めて正確に時を刻む原子時計がふたつあると仮定しましょう。ひとつを空港に置き、もうひとつをコンコルドに乗せてロンドンとニューヨーク間を往復したら、ふたつの時計が表示する時刻は異なるはずです。なぜなら、コンコルドに乗せた時計は空港の時計よりも時を刻む速度が落ちるからです。時間膨張の理論はミューオンといった亜原子粒子でも証明されています。ミューオンは宇宙線が地球の上層大気圏に突入したとき生まれますが、生まれてから平均2.2マイクロ秒で崩壊します。かくも短命なミューオンですから、地球の表面に到着するまで生きながらえることはありえません。ところが実際は、地球に到着するまで生きながらえるのです。なぜなら、ミューオンがあまりにも高速度で進んでいるため、時の経過が遅くなるからです。

 時間が見かけ以上のものだということがまだ信じられないのでしたら、雲が出ていない新月の夜、外に出て空を見上げてみてください。それによってあなた自身、タイムトラベルに参加することになるのです。なぜならあなたが見ている星は昔のものだからです。ペガサス星雲の左上にぼんやりした光の区域があるはずです。それはアンドロメダ星雲、地球に最も近い星雲です。でも、あなたが見ているアンドロメダ星雲は現在のものではありません。220万年前のものなのです。なぜなら、この星雲はあまりにも遠いので、その光が地球に届くまでに220万年かかるからです。言い換えれば、夜空を見上げるとき、あなたは遠い過去を見ていることになります。最近、科学者がコロナ・ボレアリス星座で「アベル2065」という名の星雲を見つけました。この星座は十億光年の彼方にあります。つまり、この星座の光は十億光年の昔に天体望遠鏡に向かって旅を始めたことになります。このころ、人類はたぶん原始時代のぬかるみから進化する過程にあったのでしょう。


時間にまつわる不思議体験をしたことがありますか?お話を聞かせてください!

 トム・スレメン
 作家。イギリスのリバプール市在住。リバプールで起こった幽霊話や不思議な話を集めた『Haunted Liverpool』シリーズは本国でベストセラーとなっている。彼のウェブサイト(英語)では、スレメンさんが書いた怖い話や不思議な話を無料で読むことができます。