ジュネーブの近くにある「セルン(ヨーロッパ合同原子核研究機関)」の科学者によると、同機関での実験が時空連続体に穴を開け、未来人が私たちの時代にタイムトラベルすることを可能にするかもしれないとのことです。
●2008年はタイムトラベル元年に?
セルンの実験室には「大型ハドロン衝突型加速器」が設置されています。ここで科学者たちは宇宙の誕生について研究を続けており、今年の後半、加速器のスイッチが入れられることになっています。ロシアの数学者イリーナ・アレフェヴァ博士と、イゴール・ヴォロヴィッチ博士によると、加速器のスイッチを入れることによって、小さなブラックホールができる可能性があるとのことです。このブラックホールが「タイムトンネル」の片方の出入り口として機能したら、現代人よりも優れた科学技術を持つ未来人がそこを通って過去に旅行できるかもしれません。もしそれが実現したら、2008年はタイムトラベル元年になります。
●運命パラドックス
タイムトラベルの数学的な可能性については哲学者や科学者によって長年にわたり議論されています。一般相対性理論や特殊相対性理論によると、タイムトラベルは少なくとも理論的には可能という結論が出ています。
そうはいっても、時空連続体に穴が開き、未来人がジュネーブに現れたら、いくつかの影響が及ぶ可能性があります。最も明らかな影響は「運命パラドックス」または「因果の輪」と呼ばれます。これは、たとえ未来人がタイムトラベルして過去を変えたとしても、その変化はすでに起こっているという考え方です。
例を挙げて説明しましょう。未来人が車の事故を防ぐために過去にやってきたとします。しかし、そもそも彼が過去に旅をしたことが原因で自動車事故が起こったとしたらどうでしょう?そこで因果の輪ができてしまいます。それは自由意志に大きく関わってきます。もしも私たちが一連のできごとに束縛されているのなら、私たちがくだす決定は自分の意思によるものなのでしょうか?
●ノヴィコフ博士の説
タイムトラベルに関してもっと有名な問題は「祖父殺しのパラドックス」です。過去にさかのぼって自分のおじいさんを殺したらどうなるでしょう?そうしたらあなたはもはや存在しなくなるので、過去に戻っておじいさんを殺すことはできなくなります。
人々はこのパラドックスを解くため、努力を重ねてきました。最も有名なのは「ノヴィコフの首尾一貫の原則」と呼ばれます。これは考案者のイゴール・ノヴィコフ博士にちなんで、そう名づけられました。同博士の説によると、もしも誰かが過去に戻って若かりしころの自分自身や自分のおじいさんを殺そうとしても、ことごとく邪魔が入って殺すことはできないそうです。この説を更に推し進め、博士は次のような説を唱えます。過去を変えることは可能かもしれないが、それには条件がある。タイムトラベラーの起こした行動が過去に影響を与えない限り、過去は変えられるというのです。映画『ミレニアム 千年紀』はこの前提に基づいています。
もう一つの説があります。それは「過去を見ることは可能だが、過去を変えることはできない」というものです。したがって、ワームホールが開いて未来人たちが私たちの時代を見学できても、私たちに干渉することは一切できません。未来人がセルンの科学者にタイムトラベルの成功を報告することも過去の干渉になりますので、この説が正しいとしたら、2008年はタイムトラベル元年になりえないということになります。