謎めいた男が出現!

このできごとは一生忘れないでしょう。

僕が10歳だった時のことです。ある夏、僕は裏庭の椅子に腰を下ろし、母親とおしゃべりしていました。

その時、聞き覚えのある音が耳に入ったので、後ろを振り返りました。それは袋を踏んだ音でした。そのころ、父が庭にまくための種を買ってきたのです。僕は種をまいたあと、空になった種の袋を地面に放り投げました。その後、袋はずっと地面に放置されていたので、袋を踏んだ時、ガサッという小さな音が立ったのです。

僕の背後には見知らぬ男が立っていました。彼は種の袋を踏みしめていました。身長が1メートル80センチくらいで、黒の上着と、黒のズボン、そして黒の靴を身に着けていました。上着の下のシャツは灰色でした。

彼はうぬぼれたような表情で地面を見ていました。僕は生まれてこの方、その男に一度も会ったことがありませんでした。ほどなくして彼はフッと掻き消えました。

僕は自分の目が信じられなかったので、母には何も言いませんでした。頭がおかしくなったと思われたくなかったのです。

その時、母がこう言いました。「あの男を見た? 何が起きたの? あれは何だったの?」