2.ザ・ダーレク
脚本:テリー・ネイション
監督:クリストファー・バリー、リチャード・マーティン
ダーレクが大ウケで、『ドクター・フー』は一躍人気番組に
1.死の惑星:1963年12月21日
2.生存者:1963年12月28日
3.逃亡:1964年1月4日
4.待ち伏せ攻撃:1964年1月11日
5.遠征:1964年1月18日
6.試練:1964年1月25日
7.救出:1964年2月1日


ドクターと三人のコンパニオンはスカロ星に到着する。この惑星の住民は二手に分かれていた。ひとつの種はダーレク……敵意に満ちた突然変異種で、ロボットを思わせる移動可能な機械の中に入り、我が身を保護している。もう一つの種は人間に似た美しいサールである。ダーレクは核兵器でサールを攻撃しようとしていた。サールは平和主義者なので、戦争に関わることにためらいを感じている。だがドクターは全滅の危機を避けるため、ダーレクと戦う必要性をサールに説くのだった……。

この物語ではフーで一番人気の悪役、ダーレックが初お目見えしました。最初の原始時代の物語はかなり好評だったそうですが、この『ザ・ダーレク』は視聴者に大ウケで、本国イギリスにおける最後二回の視聴者数は一千万人を越えました。
この物語の脚本を書いたテリー・ネイションさんは1930年の生まれ。彼が8歳のとき第二次大戦が勃発しました。ナチスと広島・長崎の原爆投下の時代を生きた同氏は、そのときの恐怖をこの『ダーレク』に投影したのだそうです。ダーレクの有名な口癖、「エクスタ〜ミネイト!エクスタ〜ミネイト!」(皆殺しにせよ!皆殺しにせよ!)は、そんな背景から生まれたのかもしれません。
なお、この物語は大ヒットとなったので、ピーター・カッシングの主演により映画化されました。映画の詳細はここをクリック!

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3.破滅寸前
脚本:デイヴィッド・ウィテカー
監督:リチャード・マーティン、フランク・コックス
余った番組枠を埋めるために作られた急場しのぎの作品
1.破滅寸前:1964年2月8日
2.災難スレスレ:1964年2月15日


スカロ星をあとにし、地球に向かうターディスに異変が生じ、四人の乗組員は全員気を失ってしまう。
四人は薄暗いターディスの中で気を取り戻す。ドクターは額に傷を負っており、残りの三人は部分的に記憶を失い、頭や首に痛みがあった。しかも、ターディスの扉が勝手に開いたり閉まったり、時計が溶けたり、スクリーンに意味不明の映像が映し出されたりと、奇妙なできごとが起こり始めた。果たしてこの不可解な事件の真相は?

この物語は二部構成で、25分のエピソードが二本で完結するのですが、面白い裏話があります。シーズン1を編集していく過程で、エピソード二本分の空きができてしまったのだそうです。どうしてもこの空きを埋めなければいけないが、予算は限られている。他の俳優を雇ったり、セットを作ったりする余裕はない。そこで苦肉の策として、登場人物を四人に限定し、舞台をターディス内に限って、脚本を書いたのだそうです。いわば急場しのぎの穴埋め的な物語だったわけです。
『(新)ドクター・フー』では、ターディスが単なる乗り物にとどまらず、独自の知性を持った一種の機械生命体として描かれています。そんな設定のきっかけを作ったのが、この物語です。

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4.マルコ・ポーロ
脚本:ジョン・ルカロッティ
監督:ワリス・フセイン、ジョン・クロケット
今は誰も見ることのできない、幻の名作
1.世界の屋根:1964年2月22日
2.歌う砂:1964年2月29日
3.五百の目:1964年3月7日
4.嘘の壁:1964年3月14日
5.上都からの騎手:1964年3月21日
6.強大なるクビライ・カン:1964年3月28日
7.北京の刺客:1964年4月4日


ドクターと三人の仲間は雪原に到着する。ところがそこで災難が発生!ターディスが故障し、熱源と水を絶たれてしまったのだ。このままでは四人は凍死してしまう。彼らを助けたのはベニスの旅行者、マルコ・ポーロであった。彼の話によると、時は1289年で、場所はヒマラヤ山脈だという。マルコは蒙古の兵士と中国の娘ピング・チョーを連れて、クビライ・カンに謁見するためパミール峠から北京に向かう途中だという。
マルコはターディスが「空飛ぶキャラバン」だと知り、ドクターからターディスを奪って、クビライ・カンに献上することを勝手に決意する。その功績によって、ベニスに帰る許可をもらおうという魂胆である。ドクターたちはなす術もなく、マルコのキャラバンに加わり、旅をする羽目になる。一行はゴビ砂漠を渡り、敦煌千仏洞に立ち寄り、万里の長城をたどって上都から北京へと至る大冒険の旅に出発する。行く手には数々の危険が待ち受けていた……。

この作品は残念ながら消去されてしまいましたが、スチル写真と音声を元に復元した30分のダイジェスト版はこのボックスセットに特典映像として含まれています。
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5.マリナスの鍵
脚本:テリー・ネイション
監督:ジョン・ゴリー
失われた四つの鍵を探せ!波乱万丈の冒険譚
1.死の海:1964年4月11日
2.ベルベットの網:1964年4月18日
3.叫ぶジャングル:1964年4月25日
4.恐怖の雪原:1964年5月2日
5.死刑宣告:1964年5月9日
6.マリナスの鍵:1964年5月16日


ドクターと彼の孫娘スーザン、そしてイアンとバーバラはマリナス星に到着する。この星では凶暴な種族をマインド・コントロールによって管理するため、「マリナスの良心」と名づけられたコンピュータが使われていた。ところが、このコンピュータを動かす四つの鍵が失われ、凶暴な種族が暴れだしたので、マリナス星は危機的な状況にあった。そこで科学者のアービタンは苦肉の策としてターディスの周りにバリアを張り、ドクターたちをターディスから締め出してしまう。四つの鍵を探し出さない限り、バリアを取り除かないというのだ。罠にはめられた四人は怒るが、仕方なく鍵を求めて危険な旅に出発する羽目に……。

これは結構、面白いです。一回25分で物語が完結するようになっており、それらの小さな章が集まって一つの大きな物語が完成する構成になっています。
腕時計型のテレポート機を使って、マリナス星をあちこち駆け巡り、鍵を探すのです。行き先は熱帯のジャングルから厳寒の雪原まで様々。ジャングルでは殺人植物が主人公たちに襲いかかり、雪原では凍結していた戦士が動き出したりと、波乱万丈の物語が展開。セットや特撮は今とは比べ物になりませんが、それでもこの種の昔のSFドラマには独特の魅力があります。
科学の先生、イアンは背中に鶴の紋章がついた法被(はっぴ)を粋に羽織り、微笑ましい姿で大活躍!これは前の物語『マルコ・ポーロ』で中国から持ち帰ったおみやげなのでしょう。中国服というより和服?

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6.アステカ
脚本:ジョン・ルカロッティ
監督:ジョン・クロケット
アステカ帝国を舞台にした歴史もの第三弾
1.悪の寺院:1964年5月23日
2.死の戦士:1964年5月30日
3.犠牲の花嫁:1964年6月6日
4.暗闇の日:1964年6月13日


ドクターとコンパニオンは1430年のメキシコに到着する。そこでバーバラはアステカ人によって高僧の生まれ変わりだと勘違いされる。生き神様に祭り上げられたバーバラは自分の地位を利用して残酷な人身御供の風習をやめさせようとする。ドクターはバーバラに「歴史を変えるべきではない」と忠告するが、彼女は聞く耳を持たない。一方、イアンはアステカの屈強な戦士と決闘する羽目になり、スーザンは人身御供の犠牲者と結婚することを命じられる。逃げたくても、ターディスは高僧の墓に閉じ込められているのでアクセス不可能。果たして四人の運命やいかに?

当時のアステカでは、異性にココアを作ってあげることはプロポーズすることを意味したそうです。そうとは知らないドクターが年配の女性にココアを作ってあげたばっかりに、女性はプロポーズされたと勘違いし、有頂天になるという笑える一幕もありました。

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7.センソライツ
脚本:ピーター・ニューマン
監督:マーヴィン・ピンフィールド、フランク・コックス
エイリアンがテレパシーで人間をコントロール
1.宇宙の異邦人:1964年6月20日
2.気の進まない戦士:1964年6月27日
3.隠された危険:1964年7月11日
4.死との競争:1964年7月18日
5.誘拐:1964年7月25日
6.必死の冒険:1964年8月1日


ターディスは28世紀の宇宙船内に到着する。船内には三人の宇宙飛行士がいたが、全員死んでいるように見えた。ところが突然彼らは息を吹き返す。船長の説明によると、三人は「センソライツ」と呼ばれる、テレパシー能力を持つ宇宙人の影響下にあるという。宇宙人のテレパシーによって、トランス状態にされてしまうというのだ。三人のうち一人は錯乱状態にあった。
そうこうしているうちに、ドクターの孫娘、スーザンがセンソライツからテレパシーで連絡を受ける。彼らのリーダーが話し合いの機会を持ちたいというのだ。そこでドクターたちは彼らの惑星「センソ・スフィア」に赴くのだが……。

ファンの間で、この物語はシーズン1の中で最も面白くないと評価されているようです。確かにペースはやや遅めです。
エイリアンの特殊メークは当時としては上出来だと思います。特殊メークが優れているせいで、センソライツはかなり不気味で脅迫感があります。でも、物語が進むにつれ、彼らは必ずしも悪者ではないことが明らかになります。むしろ非は地球人にあったのです。なぜ地球人が彼らの惑星にやってきたかというと、この星にある貴重な鉱石を横取りするためだったのです。宇宙飛行士がテレパシーでトランス状態にされたのは、そんな理由があったからです。

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8.恐怖政治
脚本:デニス・スプーナー
監督:ヘンリック・ハーシュ、ジョン・ゴリー
フランス革命を舞台にした歴史もの
1.恐怖の土地:1964年8月8日
2.マダム・ギロチンの客:1964年8月15日
3.身分のすり替え:1964年8月22日
4.フランスの暴君:1964年8月29日
5.必要に迫られた交渉:1964年9月5日
6.コンシエルジュリー監獄の囚人:1964年9月12日


ターディスはフランス革命が盛り上がっていた1794年のパリに到着する。イアン、バーバラとスーザンは兵士に捕らえられ、監獄に送られて、ギロチン刑を言い渡される。捕獲を免れたドクターは地方高官に成りすまし、三人を救うためパリに向かうのだが……。

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