この番組は1966年から67年にかけてアメリカのABCで放映されました。日本では、1967年に NHK で土曜日の午後10時10分から放映されたそうです。本作品は『原子力潜水艦シービュー号』と『宇宙家族ロビンソン』に続いて、アーウィン・アレンが世に問うた三作目のSFシリーズです。
アメリカ政府の出資で、タイムトラベルの可能性を探る「プロジェクト・ティックトック(チクタク計画!)」が極秘裏に立ち上げられ、アリゾナ砂漠の地下に巨大なオペレーションセンターが建設されます。ところが、なかなかタイムマシンが完成しないため、業を煮やした政府は上院議員を派遣し、助成金の打ち切りを匂わせます。それを耳にした科学者のトニー・ニューマン博士(ジェームス・ダレン、写真右。当時ティーンのアイドルだったそうです)は、タイムマシンの有効性を証明し、助成金打ち切りを阻止すべく、未完成のタイムマシンに実験台として自ら身を投じてしまうのです。こうして博士は1912年にタイムトラベルし、沈没前日のタイタニックの甲板に放り出されてしまいます。ニューマン博士はタイタニックの悲劇を阻止すべく、航路を変更するよう船長に説得を試みるものの、船長は狂人のたわごととして聞く耳を持ちません。いっぽう、オペレーションセンターのスタッフは、ニューマン博士の助っ人として同僚のダグ・フィリップス博士(ロバート・コルバート、写真左)をタイタニックに送り込みます。豪華客船があわや沈没寸前のところで、スタッフはタイムマシンを操り、両博士を救出することに成功します。ところが、タイムトンネルが未完成のため、ふたりは現代に戻ることがかなわず、それ以降「無限の時の回廊」をあてどもなくさまようことになります。
両博士が放り出されるところは、1910年のハレー彗星接近、真珠湾攻撃前夜、クラカトア火山の大爆発、ギリシア・トロイ戦争、フランス革命、リンカーン大統領暗殺などなど、歴史の節目となった大事件の真っ只中ばかり。ですからふたりは時空を移動するたびに危機にみまわれ、知恵と腕力を駆使してピンチを脱出しなければなりません。このシリーズ、単なる娯楽番組にとどまらず、子供たちに歴史を教える目的もあったそうです。視聴者はふたりの博士と一緒に歴史上の重要人物に出会い、過去の大事件を追体験することができます。当時の模様が映像として残っていた場合、それがうまく番組に取り入れられています。その意味では、SFファンにとどまらず歴史ファンにとってもこたえられない番組だといえるでしょう。
60年代に制作された番組の中で、『タイムトンネル』は最もお金がかけられた番組のひとつだそうで、それは華麗な映像を見れば一目瞭然です。特殊効果については、当時としては最新鋭のテクノロジーが使われたそうです。現代の洗練されたコンピュータグラフィックス映像を見慣れた私でさえ、思わず目を見張ってしまうような見事な場面がいくつかありました。特に白と黒を基調にした巨大なタイムトンネルのセットは壮観です。音楽を担当したのは映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ。時計の「チクタク、チクタク」という音をモチーフにした壮大なテーマミュージックが否が応でも冒険心をくすぐります。残念なことに、このシリーズ、商業的な成功がならず、1シーズン全30話で打ち切られてしまいました。その後2002年にリメイクの話が持ち上がり、パイロットエピソードが制作されたそうですが、放映されることさえなくお蔵入りになってしまったそう。現代のSFX技術で磨きをかけられた新シリーズはさぞかし面白かったでしょうに、残念なことです!
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