これはあるアメリカ人男性の体験談です。上の写真はこのお話の舞台となったダニエル・ブーン国立森林地帯のスナップショットですが、このお話とは直接関係がありません。
あれは僕が大学に進学する前の夏のことでした。僕はケンタッキーにあるダニエル・ブーン国立森林地帯でおこなわれたキャンプにリーダーとして参加しました。キャンプの参加者はリーダーを除いて全員、腕時計の着用を禁じられています。しかも偶然、キャンプのリーダーたちは二人を除いて全員がデジタル時計をはめていました。キャンプは7日間続きましたが、最終日までにデジタル時計の電池がすべて切れてしまったのです。キャンプをたたんだ後は早朝に出発するバスに乗らなければなりません。目覚まし時計がないので、うかうかしていたら寝過ごしてバスに乗り遅れてしまうかもしれません。
僕は最年長だったので徹夜することを買って出ました。朝の5時になったらみんなを起こし、ハイキングをしてバス停まで行くことにしたのです。別のリーダーであるマットが僕につきあって徹夜してくれることになりました。僕たちは他の三人のリーダーと一緒にキャンプ場から800メートルほど離れたところにある谷の大岩の上で一夜を明かすことにしました。その大岩は谷を流れる川の真ん中に突き出ていました。川の流れが土地を侵食し、深い峡谷ができたのです。谷の深さは9メートルほどあり、キャンプ場は谷の上にありました。
三人のリーダーが眠りにつき、マットと僕は明朝のハイキングに備えて川の水を浄化する作業にとりかかりました。日が落ちてから二時間も経たないころでしょうか、何か光るものが谷を降り、こちらにやってくるのが見えました。僕たちは光の主がキャンプの参加者だろうと推測しました。そこで懐中電灯を持って光のほうに近づいていきました。峡谷にかかる橋に向かって谷を登り始めたら、光は僕たちから離れていきました。マットと僕はタバコを吸いながらその様子を見ていました。僕たちは話し合った末、別のグループが川の下流でキャンプしているのだろうという結論に達しました。
大岩に戻ってきたところ、再び光が現れ、こちらに向かってやってきたのです。僕はマットと話し合った結果、僕たちのキャンプの参加者が迷子になったのだろうと推測しました。そこで近くに行って、問題の人物に会うことにしました。ところが今度も光は僕たちから遠ざかっていったのです。谷を登って光が現れた場所まで行ったのですが、それでも会えませんでした。僕たちは大岩に戻りました。そのころまでに光はほとんど見えなくなっていました。
午前0時を少し回ったころ、僕たちは「幻覚を見るのにはまだ早すぎるよな」と冗談を言い合っていました。ところがそのとき、さっきと同じ場所に再び光が現れたのです。そこで僕たちは眠っている三人のリーダーのうち一人を起こして彼の意見を聞いてみることにしました。彼は光が見えると言い、何か重要なことが起こったら起こしてくれと言って再び眠りにつきました。
マットと僕は大岩の上に仰向けになり、流れ星を探しながらタバコを吸うことにしました。それから数分後、光が見えなくなったとマットが言いました。確かに彼の言うとおりでした。次の瞬間、「起きろ!」という声が谷の上から聞こえてきました。僕たちは混乱して腕時計を見ました。時刻は午前5時半になろうとしていました!マットと僕が眠りに落ちた可能性は絶対にありえません。なぜなら、仰向けになる前につけたタバコがまだ煙をくゆらせていたからです。僕たちは謎の光が5時間を瞬時にして消し去ったのだと考えています。