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時間旅行実話ゾーン→運河の旅


下記のお話はイギリスの作家トム・スレメンさんの作品を、ご本人から許可をいただいた上で翻訳したもので、実話が元になっています。


下記の興味深いお話はずいぶん昔、ある人から聞いたものです。それに私はこの事件について報じた新聞の切り抜きを読んだ覚えがあります。1990年代に出たその記事は黄色に変色していました。

1970年代初期のある暑い夏の日のことです。15歳の少年、テリー・フィッツジェラルドが家から逃げ出しました。家では両親が終わりのない喧嘩を続けていたからです。そんなときテリーは運河沿いの道を歩くのが常でした。でも今回、彼は奇妙なものを目にしました。樽を積み込んだ長い荷船が泊めてあったからです。テリーは運河の岸から船に飛び移り、中を探検しました。その船のインテリアはとても古めかしいものでした。オイルランプがぶら下げられるなど、古風な趣がありました。テリーがあちこち見ていると、背後で音がしました。振り返るとそこには背が低くてがっちりした男が立っていました。年のころは30歳くらいでした。男は厳しい表情をしており、棍棒で自分の手の平を叩いていました。

「どうも」テリーは神経質そうに挨拶しました。

男が横に移動すると、そこには二番目の男が立っていました。その男は年をとっており、頬がばら色で、農夫を思わせました。彼は長いほおひげを生やしていて、小さな丸い帽子をかぶり、昔の羊飼いが着ていたような長い外套をはおっていました。

「いったい何のつもりだね?」男は独特の方言でたずね、陶製のタバコパイプに火をつけました。テリーが言葉に詰まっていると、男は「とっとと消えな」と言いました。

テリーが頭を下げると、男は「家に帰りな」と言いました。少年は家に帰りたくないと言いました。両親がいつも喧嘩していて、「家を出て行く」というのが母親の口癖だったからです。年老いた男はテリーを憐れみ、船に残ることを許しました。筋肉質で背が低い男の名前はベンディゴでした。船は太いロープで大きな鉄製の杭に泊めてあったので、ベンディゴは船から出て杭に縛ってあったロープをほどきました。そして荷船は運河を進み始めました。

年老いた男は「俺の名前はミスター・ウェインライトだ」と自己紹介しました。そのとき奇妙な霧が船を包み込んだので、ウェインライト氏は甲板の下に行くよう少年に指示しました。それから20分後、テリーが甲板の上に出てくると、そこには今まで見たことがないような美しい景色が広がっていました。美しいエメラルド色の野原を背景に、リバプール北部特有の小家屋が軒を並べていたのです。田舎の道では農耕馬が荷車を引いており、風車が夏のそよ風に吹かれて静かに回っていました。運河の岸では古めかしい服を着た人たちが船に向かって手を振っていました。この美しい田舎の風景が過ぎ去る中で、ベンディゴは船首に腰をおろし、ブリキの笛を吹いていました。

それからしばらくして、テリーはおいしいパンの一切れと、陶製の酒瓶に入れられた黒ビールを供されました。船旅をしている間、テリーは自動車や現代的な家を一度も目にしませんでした。何かがおかしいと感じた少年がウェインライト氏にその理由を尋ねたら、彼はただ微笑んで船の舵をとるばかりでした。

その晩、船は農場の近くに停泊しました。ウェインライト氏とベンディゴ、そしてテリーの三人は納屋に向かいました。そこで人々が集っていたからです。そこでは素手の懸賞ボクシング試合がおこなわれていました。ベンディゴはゴーントという名前の図体のでかい鍛冶屋と戦い、アッという間に彼を叩きのめしました。三人は賞金をせしめて船に戻りました。それから三週間にわたり、テリーはこの不思議な運河船で過ごしたのでした。

ある朝、船はテリーが最初に乗船したときの場所に戻ってきました。帰宅したら、両親は半狂乱になっていました。息子の説明を聞いた二人はどう考えたらいいのかわかりませんでした。テリーはそんな途方もない話をでっちあげるほどの想像力を持った子ではなかったからです。少年は運河に駆け戻りましたが、もはやそこに船はありませんでした。立ち去ろうとしたテリーの耳にかすかなメロディーが聞こえてきました。それは運河を漂う荷船の上でブリキの笛を吹く音でした。というか、それは「時の運河」だったのかもしれません……。

・きっと彼らは、ある意味のタイムトラベラーだったのでしょうね。その運河でのタイムトラベルの方法を知っていたのでしょう。 - Rudel大佐さん

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