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時間旅行実話ゾーン→ピアノのある部屋


 このお話はあるイギリス人女性の体験談です。


あれは4年前のことです。私は家族と一緒に祖父の引越しを手伝っていました。その日は6月の晴れ渡った日で、少し風が吹いていました。早朝だったので、ちょっと肌寒かったことを覚えています。前日までにすべてのモノは箱に詰め込んでありました。父と叔父は一階の家具を玄関から運び出し、芝生の庭を通って、門の外で辛抱強く待っている引越し会社のトラックに積み込んでいました。私は小さめの箱を勝手口から運び出し、小さな門を通って、わき道に置く作業に従事していました。

三、四回行き来してから家に戻ろうとしたときです。ピアノの音が庭にこぼれてくるのが聞こえました。一階の前面には張り出し窓があり、窓の近くにはグランドピアノが置いてありました。その部屋は音楽室として使われていたのです。三日前に6人の男性が苦労しながらピアノを運び出す作業を見ていたので、音楽はトラックまたは台所のラジオから流れているのだろうと思いました。

それから二、三度往復してから、あたりが静かになったことに気づきました。それまで明るかった空は灰色に変わっていました。どんよりした雲が空に立ち込め、今にも嵐が来そうな雰囲気でした。そよ風も途絶え、すべては不自然なほど静まり返っていました。鳥のさえずりすら聞こえませんでした。それはまるで時が一時停止したかのようでした。父も叔父も外にいなかったので、張り出し窓から家の中を覗き込んだら、驚いたことにグランドピアノがそこに置いてあり、少女がピアノを弾いていました。長い黒のジャケットを着た厳格でやせた老人が少女の左肩後方に立ち、音楽にじっと耳を傾けるようにかがみこんでいました。

怖いとは思いませんでした。ショックさえ受けませんでした。私は単に当惑し、混乱していたのです。まず頭に浮かんだことは「なぜピアノが部屋の中に戻されたのだろう?」ということでした。それ以外のことは残念ながらあまり覚えていないのですが、ひとつ気づいたことがあります。それは少女がピアノを弾いているのに、音が聞こえなくなったことでした。そのとき叔父が静寂を破り、私に話しかけてきました。それはまるで沈思黙考しているとき、誰かによって現実に引き戻されたような感じでした。その瞬間、空は明るい青色に戻り、そよ風が吹き始めました。そしていつものせわしない日常生活が戻ってきたのです。

私の祖父母はかれこれ35年間この家に住みましたが、霊現象を一度も体験しなかったそうです。私はタイムスリップして過去のできごとを垣間見る特権に恵まれたのだと信じています。それは「現在」という時が突然故障したようなものなのでしょう。

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