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Picture Courtesy: Simon Knott

 このお話はイギリスのアンドリュー・マッケンジー著『アドベンチャーズ・イン・タイム(絶版)』から採ったものです。上の写真はこのお話の舞台となったイギリスのカージー村の現代の風景です。ちなみに、この村はサフォーク州で最も美しい村といわれています。


 時は1957年の10月。ある晴れた日曜日の朝のことでした。英国海軍に勤める三人の若者がイギリスのサフォーク州にある訓練所に行くため上陸しました。当時は三人とも15歳でした。彼らは教会の鐘の音に導かれながら、カージーという小さな村に向かいました。でも、その村に入って彼らが目にしたのは20世紀というより中世の光景だったのです。

 三人が村の南端に足を踏み入れたところ、それまで木々の間で見え隠れしていた古い教会はもはやそこにありませんでした。しかも、それまで聞こえていた教会の鐘の音もピッタリやんでしまったのです。右手に見えるのは森の木々だけで、家は一軒もありませんでした。左手には二、三軒の家がところどころに建てられていました。道は小川へと降りていき、そこから村の北端まで伸びていました。村の北側には南側よりも多くの家がありましたが、どれも小さく、古めかしくて、汚れていました。

 村は閑散としており、道端でおしゃべりする人々や通行人の姿は一切見られませんでした。唯一目にした生き物は、小川の近くにいる数羽のアヒルだけでした。しかしそのアヒルたちも身動き一つせず、鳴き声も聞こえませんでした。車や電話線、テレビやラジオのアンテナなど、現代の生活を象徴するものは何一つありませんでした。

 村はシンと静まり返っており、小鳥の鳴き声すら聞こえなかったので、三人は気が滅入ってきました。道には犬一匹いませんでした。そよ風も感じられませんでした。木々の葉がザワザワ音を立てることもありませんでした。それはまるで時をさかのぼったような気持ちだったといいます。季節まで変わっていました。この村に至るまで木々の葉は秋色に染まっていたのに、この村の木々には春を思わせる生き生きとした緑の葉が茂っていました。

 三人が肉屋の窓から中を覗いたら、そこには皮をはがれた牛が吊るされていました。牛は時間の経過によって緑に変色していました。村で見かけた店はそこ一軒だけでした。店の中は非常に汚く、クモの巣が張り巡らされていたので、店の主は何週間も前に店をたたみ、どこかへ引っ越していったと思われました。三人は他の家の中も覗いてみました。どの部屋も家具が見当たらず、ガランとしていました。

 このころまでに三人の不安は頂点に達していました。まるで目に見えない観察者に取り囲まれているような気分だったので、三人は足を速め、最後には走り出しました。道のはずれまで来た三人は息をつくため立ち止まり、後ろを振り返りました。そのころまでに静寂は破られ、教会の鐘の音が鳴り響いていました。それまであたりに立ち込めていた霧は晴れ、村の南端には教会が見えました……。


 マッケンジー氏は1988年から90年にかけて三人の兵士にインタビューしました。歴史的な事実関係を調べたところ、教会の建設は1340年代に始まったものの、黒死病の流行によって1349年に一時中断されたことが判明しました。建設が再開されたのは15世紀で、1481年ごろに完成したと伝えられています。また、三人のうち一人がカージー村の絵葉書を見て、肉屋の場所を指摘しました。その建物はその時点で肉屋として使われていなかったものの、少なくとも1790年には肉屋だったことがわかりました(それ以前の記録は残されていません)。肉屋の建物そのものは15世紀に建てられたことが判明しました。

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