

父からの贈り物
私の父は2008年に亡くなりました。父が住んでいた家を整理するために、親族がそこに集うことになりました。その前夜、父が夢枕に立ち、黒いカメラを差し出して、「このカメラをお前にやる。俺にはもう必要ないから」と言いました。僕は夢の中でそのカメラを受け取りました。
翌朝、僕は父の家に向かいました。父の遺品のほとんどは、すでに叔父によって処分されていました。ところが、洋服箪笥を開けたら、奥の方に段ボール箱がありました。その箱はテープで封がされていたので、ナイフで切って開けたら、中に黒のカメラが入っていました。
叔父はその他の電化製品をすべて処分したのに、カメラだけは見逃したようです。
この体験は私の心の痛みをとても和らげてくれました。家族が亡くなっても、すべてが消滅するわけではない、何かが残る、ということが分かったからです。
テレポートしたサンドイッチ
僕はサンドイッチの宅配サービスを行っている会社で、運転手として働いています。先日、ある事務所にサンドイッチを配達しました。注文した男性にサンドイッチを手渡し、彼からお金をもらい、事務所をあとにしました。ここまでは他の配達と何ら変わったことはありません。
でも、ここから話はおかしくなっていきます。車に乗ったら、助手席にサンドイッチの入った袋が置いてありました。僕は混乱しました。というのも、その時点では他に配達の予定は入っていなかったからです。
そこで僕は袋を手に取り、事務所に戻って、お客さんに袋を手渡しました。その時、お客さんは同僚の女性と話をしていたのですが、二人とも混乱しているように見えました。
お客さんの言うことには、確かに僕からサンドイッチの袋を受け取ったにもかかわらず、その後に周りを見回したら、袋が見つからなかったというのです。同僚の女性も、サンドイッチがどこにいったのか分からないと言っていました。
僕はこのできごとを論理的に説明しようとして頭がこんがらがっています。ひょっとしてサンドイッチは車にテレポートして戻ってきたのでしょうか?
空中浮揚した虫よけ網
数年前のことです。私は妻と一緒にキャンピングカーに乗って、湖畔に行きました。妻と車内でくつろいでいた時、窓を開けたら、窓枠にはめてあった虫よけ網が突然ひとりでに外れ、空中を漂い始めました!
私たちは網に当たらないよう、頭を下げなければなりませんでした。網はしばらく宙を漂ったあと、裏口に向かい、網戸を開けて外に出ていきました。
私たちは虫よけ網を追って裏口から外に出ました。それは芝生の上に落ちていました。
そこに友人がやってきて、「どうした?」と尋ねられたので、事情を説明したら、「たぶん、風のせいだろう」と言っていました。でも、その日、風は吹いていませんでした。たとえ吹いていたとしても、風が虫よけ網を空中に浮かべるようなことはありません!
私は不安を覚えながらも虫よけ網を元に戻したのですが、結局、少し経ってからそれを売ってしまいました。
あの日、どうしてあんなことが起きたのか、まったく訳が分かりません。
丘の男
先日、友達と一緒にハイキングに出かけました。アメリカ・マサチューセッツ州にある「ブルー・ヒルズ」という海抜196メートルの丘に登りました。頂上に到達し、景色を楽しんだあと、私たちは丘を下りていきました。
頂上から4分の1ぐらいのところまで至った時、突然男が道の片側から現れました。このあたりには道が一本しかありません。男が出てきたところはうっそうとした森林でした。
その男は汚れたシャツと茶色のズボンを身に着け、スーパーのビニール袋を手に提げていました。彼は私たちの横を通り過ぎ、丘を登っていきました。私たちはちょっと変だと思いましたが、特に気にも留めませんでした。
それから8分の7ぐらいのところまで下りてきた時、例の男性がさっきとまったく同じ形で現れました! 道の片側にある森から出てきて、私たちの横を通り過ぎ、丘を登っていったのです。
私たちは立ち止まり、このできごとを理解しようとしたのですが、納得のいく説明はできませんでした。
彼が私たちよりも先に下りることは不可能でした。そのあたりには道が一本しかなく、私たちはその道を下りていました。しかも最初に会った時、彼は丘を登っていったのです。
とても変な気持ちになりました。私はこのできごとを説明することができません。
返しそびれたCD
1980年代後半のことです。当時、僕は高校生だったのですが、ある男子と友達づきあいをしていました。彼はとてもいいやつでした。音楽の趣味が似ていたので、よくCDを貸し借りしたものです。やがて僕は高校を卒業し、大学に入りました。実家から数百キロメートル離れたところに引っ越したので、その友達とは連絡が絶えました。
引っ越した時、その友達から借りたCD(キング・クリムゾンの『ビート』)を持ってきてしまったことに気づきました。
それから10年が経ち、僕は大学を卒業し、仕事に没頭しました。そしてお金を貯め、初めてのマイホームを手に入れました。
新居に引っ越して荷を解いていた時、段ボール箱の中から例のCDが出てきました。僕は「あー、あいつを探し出して返さないといけないな」と思いました。
その時、玄関のベルが鳴りました。そこに立っていたのは、まさにその友達でした! 彼は「ひょっとして、お前、キング・クリムゾンのCDをまだ持っていない?」と尋ねました。僕は下を向きました。その時、僕はそのCDを手に持っていたのです!
僕はCDを彼に手渡しました。彼は驚いて口をポカンと開けました(僕の口もポカンと開いていたはずです)。
僕たちは社交上の挨拶を交わしました。どうやって僕の新居を見つけたのか、彼に聞いたと思うのですが、今となっては答えを覚えていません。最終的に彼は去っていきました。それ以来、彼には会っていません。