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時間旅行実話ゾーン→謎の老婆

このお話はイギリスの男性デレックさんの体験談です。上の写真はこのお話の舞台となった村です。


私が子供のころ、父はスコットランドのグラスゴー市でタクシーの運転手をしていました。タクシーの運転手は、有名人が乗ったとか、面白いことがあったというような体験を必ずしているものです。父はその手の話題に事欠きませんでした。彼はまた、不思議な体験もしたことがあるのです。

ある日のこと……たぶん60年代後半のころだと思いますが……父は旧市街を流していました。あたりには車や、バスや、モダンな洋服や、舗装道が見えていたのに、次の瞬間、彼は昔の時代にいたのです。道は舗装されておらず、建物は押しなべて低く、人々は粗野な服を着て、ボンネットをかぶっていたといいます。ですから、ヴィクトリア時代よりも前の時代だったことは確かです。父がそのことに気づいた途端、昔の光景は消えうせ、彼は「今」に戻っていたそうです。

それと似たような体験を私もしたことがあります。あれは20年ほど前のことでした。私は当時の妻と連れ立ち、北ヨークムーアにドライブ旅行に出かけました。この地域は映画『狼男アメリカン』のロケ地として有名です。私たちは「ステイズ」という名の、海岸沿いの小さな村に向かいました。この村では、観光バスや車は小高い丘に駐車する決まりになっています。私たちはそこに車を停め、徒歩で下まで降りていきました。港へと至るその道は細く、曲がりくねっていました。

その日は快晴で、周りには多数の旅行者がいました。ところが、坂道を降りていくうちに、突如として人影がなくなったのです。そこにいたのは私と妻だけでした。そのとき、老婆が向かいの道に現れました。空は曇り、肌寒くなりました。

老婆は私たちに「今は何年ですか」と尋ねました。彼女の言葉遣いは時代がかっており、とても丁寧に聞こえました(土地の方言だったのかもしれませんが)。それにしても、これは変な質問ですよね。まあ、もうろくして今が何年かわからなくなってしまった老人は大勢いますので、彼女もその口だったのかもしれません。

でも、老婆が着ていた服は今でもまざまざと思い出すことができます。彼女は黒の服を着ていました。それは手製の服で、ボタンは手で縫いつけてあるように見えました。ボタンは今のものと比べると、非常に大きかったです。老婆の靴はとても古めかしく、最近の老人がはく靴に比べると、かかとがずっと高く、どっしりした作りでした。

私は妻に顔を向けて「君も見たかい?」と尋ねたのですが、視線を戻したとき、老婆はもはやそこにいませんでした。空では再び太陽が照っており、周りには多数の人々がいました。しかし、前妻もまた老婆を目にし、私と同じく、背筋に冷たいものが走ったそうです。

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