

夜の海岸に行ったら、沖合に緑がかった光を放つ巨大な船が……
最近、僕は妻と一緒にキャンプに出かけました。米オレゴン州・リンカーン市のすぐ南にあるオレゴン海岸に、州が運営しているキャンプ場があるのです。
それは妻の家族の親族会のようなもので、僕たちと同じ年ごろのいとこが多数出席し、約一週間をそこで過ごしました。
ある夜、いとこ(年は23歳から35歳)たちは酒を飲んでいたのですが、僕は床に就くこととし、自分のテントに戻りました。この時点までにビールを4杯飲んでいたのですが、それに加えて、よく眠れるように睡眠薬を飲みました。
数分後、酔っぱらった妻が僕のテントに入ってきて、いとこたちと一緒に海岸に行こうと言い張りました。この時の時刻は午後11時半ごろだったと思います。そこで二缶のビールをつかみ上げて、ミニバンに乗り込みました。一行は8名でした。
目的地に到着し、全員が走って海岸に向かいました。その時、巨大な船が沖合に錨を下ろしていることに気づいたのです。妻にその船が見えるか尋ねたのですが、妻は「なんて異様な光景! なんて大きな船!」というコメントを繰り返していました。
僕たちは催眠術にかかったように、その船に見とれていたのですが、その時僕がアルコールと薬の影響下にあったことは確かです。睡眠薬を飲んだため、夢うつつの状態でした。
そこにいとこの一人がやってきて、妻の横に立ち、不気味に光る船に目をやりました。光るといっても、船自体が光っていたわけではないと思います。数多くの灯りが船に取り付けられていたので、光を放っているように見えたのだと思います。その光は緑がかっていました。
その後、僕も妻も、光を放つ巨大な船が見えるかどうか、残りのいとこたちに聞いて回ったのですが、みんな浜辺で走り回ることに夢中で、見えると答えた者は皆無でした。
残念ながら、誰一人として携帯電話を持っていなかったので、その光景を写真に収めることはできませんでした。ということは、証拠がないということです。
そんな中、妻が「めまいがする」と言い出したので、全員をバンに乗せてキャンプ場に戻りました。
翌日、全員が二日酔いから回復したころを見計らって、「巨大な幽霊船」の話題を何気なく持ちかけてみました。5人のいとこは「そんなものは見なかった」と言い張りました。
その後、別の親族会があり、ほとんどのいとこが出席したのですが、彼らは相変わらず「巨大な船など見えなかった」と主張するばかりでした。ひょっとしたら、僕は妻および一人のいとこと一緒に、並行世界の光景を目にしたのかもしれません。
ちなみに、いとこの中でただ一人幽霊船を目にした者は、その夜、完全にしらふでした。酒や薬の類は一切飲んでいなかったのです。