

夢の中で交通事故現場に行き当たり、怪我人に応急処置を施して……
昔、奇妙な夢を見ました。夢の中で僕は懐メロを聞きながら自宅に向かって車を運転していました。外は小雨模様で、強風が吹いていました。
そんな中、道の左手にひどい損傷を負った車がありました。運転手は木に衝突したに違いありません。僕は車を停めて救急車を呼び、運転手の容態を見ました。
運転手は20台中ごろの女性で、髪は短く、金髪の巻き毛でした。彼女は意識を失っており、出血していました。呼吸をしていなかったので、車から引きずり出し、応急処置を施しました。
しばらくして救急車のサイレンが聞こえてきました。僕は救急車がやってくる方向にちょっと目をやり、応急処置を続けました。突然、彼女は目を開き、怯えきった表情を浮かべました。夢はそこで終わりました。
時が流れ、数週間前に、僕の25歳の誕生日パーティーが催されました。数々のすばらしいプレゼントをもらったのですが、中でもある贈り物は特別なものでした。叔父が僕の家族の写真コラージュを作ってくれたのです。叔父は昔の箱の中にそれらの写真を見つけたとのこと。
僕はとりあえず、そのコラージュを他の贈り物と一緒に自室の隅に置いておくことにしました。部屋を出ようとした時、コラージュが倒れたので、引き返して写真を元に戻しました。
その作業をしながら、写真に目をやりました。僕はそれまで両親が若かったころの写真を見たことがなかったので、好奇心に駆られました。中の一枚は結婚写真でした。パリッとしたスーツを身に着けた父はかっこよかったです。父の隣に立っている母は美しく、妊娠していました。彼女の腕と首に傷跡があるようでした。
そこでハタと気づいたのです。彼女こそ、夢の中で車から引きずり出した女性であることを! そのことに気づいてから全身がブルブルと震え始めました。
僕はすぐさま父のいるところに走っていき、当時何が起きたかを尋ねました。父の話によると、母は25年前に交通事故に遭ったというのです。救急車と警察が到着した時、母は路上に横たわっており、男が走り去ったと言います。母の治療にあたった医師の話によると、もし母があの時、応急処置を受けなかったら、酸素の欠乏により、お腹の中にいた子供は命を落としていただろうと!
この時点でも体の震えは治まっていませんでした。ショックのあまり、一言も発することができなかったのです。
しばらくしてから、パーティーに来てくれた人たちがいるところに戻ったのですが、もはやお祝い気分は完全に冷めていました。あまりにも不思議なできごとだったからです。
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