これはあるアメリカの男性の体験談です。

中国武術の授業の後で生徒たちに月餅がふるまわれたのだが、それはチベットの僧侶が作ったもので……

僕はかれこれ11年に渡り毎週土曜日の午前中に師匠の下で中国武術を習っている。師は武術の達人であると同時に、漢方医・鍼灸師でもある。

昨日、師匠の奥さんがチベットから帰国した。奥さんは彼の地で僧侶たちと仏教を学んでいたのだ。武術の授業が終わりにさしかかったころ、奥さんが二個の月餅(げっぺい)を持ってきた。それは師匠へのお土産として、チベットの僧侶によって焼かれ、清められたものだった。

月餅:中国の菓子の一種。月に見立てた丸い形は共通であるが、大きさや、中に詰める餡(小豆餡、ハスの実の餡、ナツメ餡など)は地域によって違いがある。

これは余談だが、師匠の奥さんはチベットに行く前に中国に寄り、薬草を購入したのだそうだ。そのため、奥さんのスーツケースは薬草でいっぱいだった。そんな中、チベットの僧侶二人が大病を患っていたので、師匠は携帯メッセージを僧侶たちに送り、舌の写真を撮影させた。師匠は送られてきた写真を見て病状を診断し、薬草を処方した。その結果、二人とも快癒したのだから、師匠はすごい人だ。

そんなわけで、奥さんがチベットの僧侶によって清められた月餅を二個持ってきた。一個は師匠に、もう一個は奥さんに贈られたものだった。だが師匠はそれらの月餅を切り分けてみんなに配るよう奥さんに指示した。

その時、部屋には23人(21人の生徒と、師匠と、奥さん)がおり、車座になっていた。まず奥さんは師匠に切り分けた月餅を一個与え、僕の左に座っていた生徒が一個を受け取った。次に僕が一個もらったのだが、お盆に目をやったら、そこには13個の月餅しかなかった。つまり、一つの月餅を8等分し、全部で16個あったということだ。しかし、部屋には23人がいたから、7人はもらいそびれることになる。

ところが結局、全員が公平に月餅を受け取ったのだった!


チベットの僧侶たち

師匠は「みんながもらえたなんて信じられない」というようなことを言っていた。僕も信じられなかった。奥さんが月餅を配っていく様子を見ていたのだが、それはまるで漫画のようだった。いくら手渡しても、お盆に乗せられた月餅は減らなかったのだ。全員に手渡したのに、奥さんの分がまだ一個残っていた。

誰もこのことを気に留めていないようだったが、授業の後で何人かの先輩に話をしてみた。二人は一笑に付したが、一人は僕と同じことを考えていたことが分かった。驚くべき体験だった。

しかも、月餅をほおばったら、僕の顔に微笑みが不本意に浮かんだ。みんなで月餅を分けて食べたことがうれしかったのかもしれないが、思わず笑顔になったことがなんだか不自然なことのように感じられたのだ。

ひょっとしてチベットの僧侶は月餅に魔法のようなものをかけたのだろうか? よい体験だったにもかかわらず、僕はいまだに震撼している。

コメントをどうぞ

お名前

メール(省略可)

あなたのサイト(省略可)

コメント

Powered by CGI RESCUE®

時間にまつわる不思議体験をしたことがありますか? お話を聞かせてください!