

投獄され、絶望の淵にいた男がある朝目覚めたら……
ある日、僕は友達と飲みに出かけ、その帰りしなに歩行者をはねてしまった!!
僕は逮捕され、殺人罪で起訴された。こうして僕の運命は一転し、地方刑務所で7〜10年の間、頭を垂れて過ごすことになった。
獄中で過ごした日々や、そこでの暮らしぶりを鮮明に覚えている。毎晩、簡素なベッドに腰かけ、監獄での自分の将来に思いを馳せながら絶望の淵にいた。そんな日々が何週間も、何週間も続いた。
毎晩、自宅にいる自分を想像しながら眠りについた。家のベッドはどんな感じだったとか、匂いとか、音を思い出しながら眠りに落ちたのだ。
ある夜、眠りにつき……翌朝目覚めたら、あろうことか僕は自宅にいた!! 気が動転し、初めのうちは自分がどこにいるのか分からなかった。「これは夢だ。目覚めたら刑務所に戻っているに違いない」……そんな思いが脳裏をよぎった。
「こんなことはあり得ない」と僕は思った。「あれが夢だったはずがない。何週間も獄中で毎日を過ごしたのに!!」
刑務所で知り合った囚人仲間たちの名前を調べようと思ったのだが、一年前のことなので記憶は薄れていた。
こんなことがあり得るのだろうか? 量子論によると、人生で起きうるありとあらゆる可能性が実際に起きているという……ただし、それらはすべて別の次元で起きるのだ。
僕は幽体離脱を体験したことがある。魂が体から離れることができるのだったら……別バージョンの自分の体内に移ることは可能なのだろうか???