二組のイギリス人カップルが体験したこのできごとは、タイムスリップ体験の中で最も有名なものの一つです。

この話はイギリスの民放局 ITV のシリーズ『Strange but True(直訳:奇妙だが本当だ)』によってドラマ化されました。その動画(英語)をユーチューブで視聴することが可能です。


1979年10月のことです。イギリスのケント州・ドーバー市に在住のレン&シンシア・ギズビー夫妻は、友人のジェフ&ポリーン・シンプソン夫妻を誘い、スペイン旅行に出かけました。フランスを通り抜けてスペインに向かう旅です。

二組のカップルはフェリーに乗り、英仏海峡を渡って、フランスの海岸に到着しました。そこで四人はレンタカーを借り、北に向かいました。

10月3日の午後8時ごろ、疲れてきたので、四人はホテルを探すことにしました。高速道路を下りたところに瀟洒(しょうしゃ)なモーテルがありました。中に入った両カップルは、奇妙な赤紫色の制服を着た男に迎えられました。男は「うちは満室ですが、この道を南に下ったところにホテルがありますよ」とアドバイスしてくれました。四人は礼を言って、そのモーテルをあとにしました。

狭い道を運転中、両カップルは奇妙な感じに襲われました。あたりの建物が時代がかっているように感じられたからです。また、道脇に掲げられていたサーカスのポスターも印象に残りました。

「それはとても古風なサーカスだったんです。だから興味を引かれたんです」とポリーンさんは後に語っています。

やがて横長の低い建物が見えてきました。一列に並んだ窓は内部から明るく照らされていました。建物の外に人がたむろしていたので、シンシアさんが話しかけたところ、その人たちは「ここは宿屋です。ホテルではありません」と言いました。

さらに道を進んで行ったら、二つの建物が見えてきました。一つは警察署でした。もう一つは古風な二階建ての建物で、「ホテル」という看板が掲げられていました。

扉をノックした両夫妻は愛想のいい主人に迎えられました。彼らはそこで一泊することにしました。中はすべてが木造りで、電話やエレベーターといった文明の利器は一切ありませんでした。

宿の主人が気を遣って夕食を用意してくれました。食堂は小さめで、6〜7台のテーブルに白のテーブルクロスがかけられていました。

客室はいたって簡素でした。ベッドは高めで、マットレスには羽毛が詰められていました。シーツはキャラコのような硬い素材でした。扉には留め金しか取り付けられておらず、錠はついていませんでした。四人は浴室とトイレを共有しなければならなかったのですが、水道設備は昔風のものだったといいます。もっと驚いたことは、窓にガラスがはめられていなかったことです。窓には外開きの木製のシャッターが取り付けられていました。

四人はベッドに入って眠りにつきました。

翌朝、彼らは窓から差し込む日光によって目を覚ましました。身支度を整えて食堂に向かい、そこで簡素な朝食をとりました。ジェフさんは「コーヒーはブラックで、とてもまずかった」と語っています。

そこに二人の地元の警察官が入ってきて、コニャックを飲み始めました。藍(あい)色の制服を着た二人は、肩マントをまとい、帽子をかぶっていました。とても古めかしい印象を受けたとジェフさんは語っています。

そこに若い女性が入ってきました。彼女は子犬を腕に抱き、藤色の絹のイブニングドレスを着ていたのですが、ポリーンさんは彼女の服装について次のように語っています。

「それは異様な光景でした。彼女はまるで舞踏会から帰ってきたようないでたちだったんです。でも、時間は朝の7時だったんですよ。彼女から目を離すことができませんでした。」

いろいろ奇妙なことがあったものの、四人はこのホテルでの滞在を楽しみました。部屋に戻ったあと、二人の夫は妻を窓の前に立たせて記念写真を撮りました。

荷造りをすませた両カップルはロビーに降りていき、警察官にオートルート(高速道路)までの道順を尋ねました。警官は「オートルート」という言葉を理解できないようでした。両夫妻はフランス語の発音が悪かったので聞きとれなかったのだろう、と推測しました。

車に荷物を積んでから、宿の主人に清算を頼んだ四人は、請求された額に驚きました。なんと、一泊二食でわずか19フラン(約400円)だったのです。何かの間違いだと思った彼らは、「四人分の料金で、食事料金も含まれているのですか?」と確認したのですが、主人はうなずくばかりでした。念のため二人の警官にも請求書を見せたのですが、二人とも微笑んだので、正当な金額だったということです。彼らは主人の気が変わる前にさっさと支払いを済ませ、ホテルをあとにしました。

両夫妻は警察官から教えられた道順に従って運転していったのですが、その指示はあてになりませんでした。古い道に出てしまったので、地図を頼りに高速道路に通じる道を見つけました。

スペインで二週間を過ごした四人は、イギリスに帰る途中、もう一度例のホテルに泊まることにしました。とても興味深いところだったし、何よりも安い料金が魅力だったからです。

その夜は雨が降り、寒く、視界が悪かったのですが、四人はホテルに通じる道を見つけることができました。行きがけに見たサーカスのポスターが手がかりになりました。

しかし、ホテルは見つかりませんでした。そこで四人は、赤紫色の制服を着た男がいたモーテルに向かい、道順を尋ねることにしました。そのモーテル自体は見つかったのですが、奇妙な制服を着た男はそこにいませんでした。モーテルの関係者は、そんな男は働いていないと主張しました。

両夫妻はその道を三回も行ったり来たりしたのですが、結局あの古めかしいホテルは見つかりませんでした。彼らは仕方なく北に向かい、リヨン市のホテルに泊まることにしました。そのホテルは現代的な設備を完備しており、一泊二食つきで247フラン(約5,200円)でした。

イギリス・ドーバー市に帰国後、写真を現像に出した四人はショッキングなできごとを体験することになります。ホテルで撮った写真がなかったのです。ジェフさんはホテルの中で写真を一枚撮り、レンさんは二枚撮りました。それらの写真はフィルムの真ん中あたりに位置しているはずでした。しかし、ネガにそれらの写真が写っていなかったのです。使いものにならない写真がネガの中にあったわけではないし、未使用の部分があったわけでもありません。あたかもホテルでまったく写真が撮られなかったかのようでした。

しかし、このできごとを取材した地元のテレビ局の記者が細かな点に気づきました。それは、フィルムの真ん中あたりで、カメラがフィルムを巻き戻そうとしたことです。ジェフさんのネガも、レンさんのネガも、真ん中辺の送り孔が傷ついていたのです。

納得のいかない四人は、謎のホテルを求めて、再度フランスを訪れました。しかし、観光局の協力にもかかわらず、ホテルは見つかりませんでした。ホテルが建っていた場所には崩れかけた廃屋があるだけでした。土地の人々はその廃屋が以前ホテルとして使われていたかどうか知りませんでしたが、廃屋の隣に警察署があったことは確認されました。

両夫妻は三年の間、このできごとを友達や家族だけに話し、公に発表しませんでした。そんな中、一人の友達が服装の歴史に関する書物を見つけ出し、昔のフランスの警察官の制服について調べました。その結果、1900年代の制服が二人の話に一致することが判明しました。また、当時、フランスでの一泊二食の料金の相場は19フラン程度であったことも明らかになりました。

最終的にドーバーの地方紙がこの話を聞きつけ、記事を掲載しました。その後、テレビ局がこのできごとをドラマ化し、四人の体験談は世間に知れ渡りました。

ただ、二点ほど腑に落ちない点があると、両夫妻は語っています。一つは、誰も彼らの服装や車についてコメントしなかったこと。もう一つは、宿主に新札のフランで支払いをした際、その紙幣が当時使われていなかったにもかかわらず、主人は文句を言うこともなく、そのお金を受け取ったことです。

両夫妻は過去にタイムスリップしたのでしょうか? あなたはどう思いますか……?

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・私も、カメラはいつも一緒に持ち歩いていたのに古いホテルで写した写真だけが写っていなかったという現象も気になりました。記憶がある為、時空間移動の事実は消されていないので...

・不明・さん


・写真が消える。写真の風景から、本人達が消えたということなんでしょうかね。バックトウザフューチャーみたいですね。


・支払いはどう考えてもあやしいなぁと思いますね。受け取ってもらえるはずがない。これだけのご老人たちがこぞって嘘をつくか、ってところが一番信憑性を持たせるところだけど・・・お国柄(ちゃめっけがあるって意味で)なのかなぁとも思うし・・・。ほんとだったら夢があっていいですね。

烏丸さん


・やっぱり、映像付きだと臨場感がありますね。きっと、20世紀初頭のフランスの宿屋へ飛ばされてしまったのでしょう。

虚無僧さん

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