

これはインドの男性ヴァス・バノトさんの体験談です。上の画像の風景は、この話の舞台であるインド・ナイニータール県のものです。
遠く離れたおじの家に向かったインド人の男性が体験した不可解なできごととは……?
1965年。インドのウッタラーカンド州・ナイニータール県にヴァス・バノト(当時の年齢33歳)という名の男が住んでいた。ある日、ヴァスは自宅から 90q 離れたサタラリという村に住むおじの家を訪ねることにした。
10月13日、ヴァスはサタラリを目指して出発した。車で3時間の道のりだ。丘陵地帯を運転するのは重労働なので、途中で休憩をはさみ、旅を続けた。
サタラリまで数キロメートルの地点に至った時、突然濃い霧があたりに立ち込めた。丘陵地帯に霧が出るのは珍しいことではないので、ヴァスは躊躇することなく霧の中に入っていった。

霧に煙るナイニータールの湖
"Foggy nainital lake" by V.Vasant is licensed under CC BY 2.0.
やがて霧が晴れ、眼前に目的地の村が現れた。だが、何かがおかしい。道路の横にあるはずの湖が見当たらないのだ。昨年この村を訪れた時は確かに湖があったのに、今はその痕跡すら認められなかった。しかし、一刻も早くおじに会いたいと思っていたヴァスは、村人に質問することなく運転を続けた。
おじの家に到着し、扉をノックしたら、見知らぬ男が玄関に姿を現し、ヴァスを驚かせた。男によると、この家を建てて以来ずっとここに住んでいるという。子供のころから毎年この家を訪れていたヴァスはショックを受けた。他の村人たちも男の言い分が正しいと口々に証言した。村の長老によると、おじにあたる人は20年前に事故でこの世を去ったいう。ヴァスは自分の耳を疑った。
訳も分からないままナイニータール県に戻ったヴァスは、父親と警官に相談することにした。説明を受けた2人は驚き、不可解なできごとの真相を突き止めようということになった。
翌日、ヴァスは父親と警官を同伴して再びサタラリに向かった。今回はすべてがいつも通りだった。天気は快晴で、濃い霧が出ることはなかったし、前日になかった湖は道路の近くにちゃんと存在していた。すべてが正常な状態に戻っていたので、ヴァスは混乱した。
おじの家に到着し、扉をノックしたら、玄関に現れたのはおじその人で、家族も全員健在であった。村人たちは全員ヴァスの素性を分かっており、彼が前日村に来なかったと異口同音に言った。

1940年代のナイニータール
"File:Nainital in 1940's.jpg" by Harshit SR is licensed under CC BY-SA 4.0.
一部始終を見聞きした父親と警官は、ヴァスの頭がおかしくなったと結論づけた。しかし彼は前日に体験したことがすべて事実だと主張し、譲ることはなかった。
ヴァスの言ったことは出まかせだったのだろうか? それとも彼はおじが早死にした並行世界を訪れたのだろうか? 答えは永遠に霧の中だ。なぜならヴァスはすでに他界してしまったのだから……。
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